この事例の依頼主
60代 女性
ご依頼者様とその夫は、夫の仕事の都合により長年別居していましたが、ある日突然夫から離婚してご依頼者様が居住している自宅を売却したいと告げられました。自宅は夫名義でしたが、住宅ローンはご依頼者様が夫に代わって返済していました。夫には住宅ローン以外にも多額の借金があり、自宅以外に財産分与の対象となるような財産はありませんでした。ご依頼者様としては、長年住宅ローンの返済を続けてきた自宅に離婚後も住み続けたいと考え、ご相談にいらっしゃいました。こちらのご依頼者様からは、夫と具体的な離婚協議を行う前の段階から、継続して財産分与等につきご相談いただいておりました。そうした中、ある日ご依頼者様は住宅ローンの借入先の金融機関から、夫が住宅ローンの繰上返済の手続を進めているという話を聞き、弁護士にその旨をお知らせくださいました。
それまでのご相談でご依頼者様から聴取した事情から、夫は自宅を売却し、その代金で住宅ローンの繰上返済を行うつもりなのだということが分かりました。自宅にはご依頼者様とお子様が居住しているにもかかわらず、夫はご依頼者様に無断で売却手続を進めていたのです。売却が完了してしまえば、ご依頼者様は自宅に住み続けられなくなるだけでなく、その売却代金もどこかへ隠されてしまい、夫から全く財産分与を受けられなくなる可能性もありました。そこで、自宅の売却を阻止するため、直ちに不動産の仮差押えを行いました。その結果、不動産の仮差押えは成功し、夫による自宅の売却を無事阻止することができました。最終的には、夫婦で話し合った上で別の第三者へ自宅を売却することとなりましたが、より高値で売却できたため手元に残る金額も増加しました。ほぼ唯一の財産であった自宅の仮差押えに成功したことで、夫との交渉も有利に進めることができ、ご依頼者様は一般的な財産分与に加えて、解決金として250万円の支払を受けることができました。
住宅ローンの繰上返済のご連絡をいただいた当初、ご依頼者様は夫が自宅を売却しようとしていることについては把握されていませんでした。継続してどのようなことでもご相談いただける関係を築けていたからこそ、状況を正確に把握し、迅速な対応を行うことができたものと考えております。