この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
母親が死亡した,子2人からの相談です。母親には子が4人いましたが,長男がすべて相続すると言って,他の相続人へは遺産を全く渡すつもりはなく,協議ができなくて困っているとのことで相談にお見えになりました。以前亡くなった父親の相続のときは,長男(ご相談者様の兄)の言うとおりの遺産分割協議書に判子を押したが,今回の母の相続については,長男の言うとおりにするつもりがないとのことでした。父の相続のときには,長男は母親の面倒を見ると約束したが,実際には,お母様はご相談者様のところに逃げてきていたとのことでした。
解決への流れ
当事者間では全く話にならないとのことで,遺産分割調停を申し立てることとしました。調停でも,相手方(長男)は,ごく僅かな金銭を支払うことで解決することを主張してきましたが,根拠の乏しい主張でした。もっとも,お母様の遺産の多くは不動産(土地)であり,その土地上に相手方名義の建物が建築されていたため,ある程度妥協した金額を受け取る方法で遺産分割調停を成立させることになりました。
遺産分割においては,被相続人の遺産が必ずしも分けやすいもの(預金等)とは限りません。そのため,遺産分割の際に法定相続分の受け取りに固執すると,解決が遠のき結果的にご依頼者様のメリットにならない場合もあります。このケースにおいても遺産のほとんどが不動産(土地)であり,その土地上に相手方名義の建物が建築されていましたので,土地を法定相続分ご依頼者様が受領した場合,その土地の処分が問題となるケースでした。このように遺産分割は,単純に法定相続分の遺産を確保しても,ご依頼者様の利益にならない場合もございますので,弁護士にご相談された方がより良い解決を得られることになると思います。