この事例の依頼主
40代
相談前の状況
弁護士から遺産分割に応じるよう通知が届いた方からの相談です。お父様が亡くなられた後、お母様が住んでいる土地・建物だけが遺産として残りました。ご依頼者の下に他の兄弟から遺産分割によりその土地・建物を売却する意向である旨の通知と遺産分割調停の申立がありました。
解決への流れ
ご相談者様は「母にこれまでどおり、住み慣れた家で暮らしてほしい」との希望を持っていました。そこで、お母様とご相談者様とで土地・建物を取得して、代わりに他の相続人に金銭(代償金)を支払うという提案をしました。対象となる土地・建物をお母様が現に使う権利があること、そのため売却が困難であるから評価額が低くなることを主張、証明して、ご相談者が支払える範囲内で代償金を支払うことで合意できました。その結果、お母様は住み慣れた家に生涯住むことができるようになりました。
この事案では、お母様に住む権利があるのかが一つのポイントでした。建物所有者だった亡父との生前の生活状況などから、お母様が無償で建物を利用する権利(使用借権)があることを主張しました。その権利がついている分だけ土地・建物の価値が下がることとなり、ご相談者様の納得できる金額で土地・建物を取得することができました。※ 依頼者のプライバシー保護の観点から内容を修正しています。お母様を生涯ここに住まわせてあげたい、というご相談者様の気持ちが、法的な解釈をひねり出すヒントとなりました。