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副業推進議論進む…本業が「会社員」、副業が「業務委託」の場合、どんな問題がある?
2017年12月16日 08時49分

働き方改革の一環で、テレワーク、副業・兼業などのあり方について検討する、厚生労働省の「柔軟な働き方検討会」が12月11日開かれ、副業・兼業促進についてのガイドライン案が公表された。

この中で、企業の対応として、副業と本業の両方の勤務先がある場合、労働時間を通算して考えることに留意する必要があるとしている。また、労災保険については、本業と副業の勤務先を移動する際の災害については、通勤災害にあたるとしている。

雇用保険、厚生年金保険、健康保険についても、ルールを明らかにしており、例えば、厚生年金保険や健康保険の適用要件については、事業所ごとに適用要件を判断するため、本業と副業の労働時間を合算しても、それぞれの事業所で要件を満たしていなければ、適用されないとしている。

結局、本業の勤務先と、副業の勤務先がある場合、2つ以上の会社に勤めることになるため、制度的にややこしいことが多い。これを明確化しようという動きだといえる。

ただ、実際は、副業を業務委託の形式でやっている人も多い。例えば、デザイナーの場合、どこかに勤務するのではなく、制作業務を頼まれて、自宅などで作業して、納品する人もいるだろう。

ガイドライン案では、副業が業務委託の場合は、企業は長時間労働にならないように配慮すべき、という程度の言及しかないのだが、業務委託となると、雇用される場合とどう違うのか。今井俊裕弁護士に聞いた。

働き方改革の一環で、テレワーク、副業・兼業などのあり方について検討する、厚生労働省の「柔軟な働き方検討会」が12月11日開かれ、副業・兼業促進についてのガイドライン案が公表された。

この中で、企業の対応として、副業と本業の両方の勤務先がある場合、労働時間を通算して考えることに留意する必要があるとしている。また、労災保険については、本業と副業の勤務先を移動する際の災害については、通勤災害にあたるとしている。

雇用保険、厚生年金保険、健康保険についても、ルールを明らかにしており、例えば、厚生年金保険や健康保険の適用要件については、事業所ごとに適用要件を判断するため、本業と副業の労働時間を合算しても、それぞれの事業所で要件を満たしていなければ、適用されないとしている。

結局、本業の勤務先と、副業の勤務先がある場合、2つ以上の会社に勤めることになるため、制度的にややこしいことが多い。これを明確化しようという動きだといえる。

ただ、実際は、副業を業務委託の形式でやっている人も多い。例えば、デザイナーの場合、どこかに勤務するのではなく、制作業務を頼まれて、自宅などで作業して、納品する人もいるだろう。

ガイドライン案では、副業が業務委託の場合は、企業は長時間労働にならないように配慮すべき、という程度の言及しかないのだが、業務委託となると、雇用される場合とどう違うのか。今井俊裕弁護士に聞いた。

●本業の雇用+副業の業務委託

副業が業務委託になることに、どういう意味があるのか。

「端的に言えば、企業に従業員、つまり労働者として雇用されて一定時間は就労するけれども、1日のそれ以外の時間を、別の企業から業務委託を受けて、個人事業主としてその業務にあたる、という形態です。

特に就業規則で制限がないならば、法律上は業務委託契約を締結して業務にあたること自体は問題はありません。ただし、そのような働き方が増えた場合に想定される問題としては、合算するとあまりに長時間に及ぶのではないか、といった問題や、各種社会保障の問題があります」

具体的にはどのようなことが問題になるのか。

「労災保険は一つの事業場に雇用されていれば、適用対象になりますが、そのための労災保険料は雇用している企業だけが負担して、業務委託している側の企業は無関係なのが現状です。それが本当に適切なのか、という問題はあるでしょう。

また、雇用されている企業の労働時間が週20時間未満ならば、現状では雇用保険の被保険者に該当しません。つまり、本業の勤務先での労働が週20時間に満たず、それ以外の時間で業務委託の仕事をしている場合、雇用保険の被保険者になれないことになりますが、それでいいのか、という問題もあるでしょう。

同種の問題は、医療保険や厚生年金等の社会保険の被保険者にも当てはまる問題です。現状では業務委託者の場合は、加入させる制度になっていません。

本業の勤務先と、副業の勤務先、という2つの企業に雇用される場合だけでなく、1つの企業の雇用され、業務委託で副業をするという働き方が今後増加してきた場合にも備える必要があるでしょうね」

(弁護士ドットコムニュース)

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