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独身税、ポテチ税、渋滞税・・・世界の「ユニーク税」どんな効果があったのか?
2014年08月24日 12時15分

文化が違えば、法制度や税制も違う。世界には、日本人が驚くような税や、日本で徴税されたら、かなりの人が困りそうな税もある。

過去にブルガリアで導入されたのは「独身税」だ。独身者の収入の5〜10%に課税された。ポテトチップス好きを困らせるのは、ハンガリーの「ポテトチップス税」。イギリスでは「渋滞税」なるものもある。

こうした変わった税は、どういう背景で導入されたのだろうか。どんな効果があったのか。近藤学税理士に聞いた。

文化が違えば、法制度や税制も違う。世界には、日本人が驚くような税や、日本で徴税されたら、かなりの人が困りそうな税もある。

過去にブルガリアで導入されたのは「独身税」だ。独身者の収入の5〜10%に課税された。ポテトチップス好きを困らせるのは、ハンガリーの「ポテトチップス税」。イギリスでは「渋滞税」なるものもある。

こうした変わった税は、どういう背景で導入されたのだろうか。どんな効果があったのか。近藤学税理士に聞いた。

●税金というムチで国民の行動をコントロール

「税金には、次の4つの役割があると言われています。

(1)社会の会費(2)富の再分配(3)景気の調整(4)政策の実行――です。

このうち、世界のユニークな税金は、(4)の政策の実行を目的とするものが多いでしょう。分かりやすく言えば、税金というムチで国民の行動をコントロールしようとするものです。国によって社会問題の種類が異なるため、他の国の人からすると、驚くような種類の税金が課せられることがあります」

その一つが「独身税」だろう。独身者にはつらい税だ。

「そうですね。少子高齢化の問題を解消するために、独身税はブルガリアで1968年から1989年にかけて導入されました。独身者の収入の5〜10%に課税したところ、出生率はかえって2.18から1.86に低下したというデータもあるそうです」

独身税がかえってあだとなったのだろうか。

「当時は、ベルリンの壁が崩壊する直前で、東欧諸国の経済が破たん寸前でした。課税強化ぐらいでは、結婚を促すことはできなかったのでしょう。

このような形での税金の課税は、結婚という行いを経済的な視点で捉えています。もし、日本で導入するにしても、少子化対策の効果は薄いのではないでしょうか。

未婚者はきっと、経済的な視点で、結婚生活での支出と、独身税の負担分をてんびんにかけるでしょう。結婚して独身税から逃れたとしても、家庭生活や子育てなど別の形での経済的負担は増えるのですから、負担にたいした違いはありません」

●「脂肪税」導入の結果、食べたい人は他国で購入

特定の食べ物に、税金がかかる国もあるようだ。

「その筆頭、『ポテトチップス税』は、ハンガリーで2011年9月に施行されました。実際の課税対象は、ポテトチップスだけでなく、スナック菓子や炭酸飲料など、塩分や糖分の高いジャンクな食品です。ポテトチップス1キロあたり約80円が課税されました。

デンマークでも2011年12月、飽和脂肪酸を含む食品を対象とした『脂肪税』が、国民の健康増進のために導入されました。しかし、どうしてもこうした食べ物が好きな人は、近隣諸国に買い出しに行くなどして、あまり効果もなく、廃止になりました」

では、お隣・中国の「月餅税」はどうだろう。

「中国では、中秋節の前に月餅を贈り合う習慣があり、会社からも月餅を支給されるそうです。しかし、これを当局は、『現物支給の手当』とみなして個人所得税の徴収対象としました。

たとえば、3000元(約50000円)の給料をもらうサラリーマンが、500元(約8300円)の月餅を会社からもらった場合、給料が3500元となります。この3500元全体に所得税が課税されることとなったのです。その結果、『月餅を食べたくない』と反発が起きました」

たしかに、食べておしまいの現物支給品にまで、課税されるのはつらい。

「そのほか、地球温暖化対策として、『家畜ゲップ税』の導入がニュージーランドで検討されました。羊や牛は、メタンガスを含むゲップをしますが、環境によくありません。そこで、羊や牛の所有に対して課税しようとしました。しかし、農家の猛反対により、結局廃案となりました」

●ロンドン「渋滞税」には一定の効果

これまで効果の薄そうな税金ばかりだったが、一定の効果があった税金はないだろうか。

「交通渋滞を緩和するために、2003年からイギリス・ロンドンで導入された『渋滞税』は、効果が上がっていますよ。市内中心部に乗り入れる車両に税金を課すことで、公共交通などの利用を促しました。

ロンドン市交通局の発表によると、半年経過した時点で、交通量は16%減少して、導入前の目標10〜15%を上回りました」

なるほど、やり方しだいではうまくいくということだろうか。

「そういうことになります。しかし、世界での先例によると、税金によって国民の行動をコントロールするのはそれほど簡単なことではなさそうです」

負担の増加につながるものは避けたいところだが、今後はいったい、どんな税金の議論が沸き起こるのだろうか。

【取材協力税理士】

近藤 学(こんどう・まなぶ)税理士

京都府南部で、クラウド大好き会計事務所として、小規模企業の継続と発展をサポートしている。

「一番楽しい会計の本」(ダイヤモンド社)、「儲からないと嘆く前に読む会計の本」(大和書房)、「なぜ金持ち会社は節税しないのか?」(九天社)の著者。翻訳に「あなたの中の起業家を呼び起こせ マイケルE.ガーバー」(エレファントパブリッシング)がある。

事務所名   : 近藤学税理士事務所

事務所URL:http://kondotax.jp

(弁護士ドットコムニュース)

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