legal_135.jpg
法廷で録音敢行の国選弁護人、大阪地裁から解任される 即日不服申し立て
2022年12月05日 20時00分
#法曹 #法廷録音

大阪地裁に係属中の刑事事件で、法廷での録音許可を求めた国選弁護人が裁判所から解任されたことが、12月5日にわかった。弁護人は同日、憲法違反があるなどとして最高裁に不服申し立て(特別抗告)をした。

刑事訴訟規則47条2項や同215条は、法廷での録音について裁判所の許可が必要としている。

解任された中道一政弁護士によると、事前に録音の許可を求める上申書を裁判所に提出。11月29日にあった初公判の冒頭で不許可となったが、異議を申し立て、録音を敢行したところ、裁判所は「録音をやめないと期日を開けない」として閉廷した。

その後も録音が必要な理由を訴えたが、認められず解任となった。裁判所の訴訟指揮について不服を申し立てる関係で、12月5日に電話したところ、すでに解任されていると伝えられたという。弁護士ドットコムニュースは大阪地裁に事実関係を確認している。

大阪地裁に係属中の刑事事件で、法廷での録音許可を求めた国選弁護人が裁判所から解任されたことが、12月5日にわかった。弁護人は同日、憲法違反があるなどとして最高裁に不服申し立て(特別抗告)をした。

刑事訴訟規則47条2項や同215条は、法廷での録音について裁判所の許可が必要としている。

解任された中道一政弁護士によると、事前に録音の許可を求める上申書を裁判所に提出。11月29日にあった初公判の冒頭で不許可となったが、異議を申し立て、録音を敢行したところ、裁判所は「録音をやめないと期日を開けない」として閉廷した。

その後も録音が必要な理由を訴えたが、認められず解任となった。裁判所の訴訟指揮について不服を申し立てる関係で、12月5日に電話したところ、すでに解任されていると伝えられたという。弁護士ドットコムニュースは大阪地裁に事実関係を確認している。

●調書の正確性、どうやって検証する?

中道弁護士が主張するのは、訴訟活動の正確な記録のために録音は不可欠ということだ。

法廷で語られた内容については、裁判所が文字起こし(公判調書)をつくるが、人の話し言葉は書き言葉のように整然とはしていない。その内容に間違いやニュアンスの違いがあったとしても、録音がなければ間違いであることを立証するのは難しい。

中道弁護士は、裁判所が調書用に実施している録音データが開示されるかも尋ねたが、裁判所は開示しないと回答したという。録音ができないなら、メモに専念する2人目の弁護人を選任してほしいとも訴えたが、聞き入れられなかった。

中道弁護士は、「大阪地裁がなしている録音の開示すら認められないにもかかわらず弁護人が法廷録音をできないということであれば、弁護人としては、もはや、録音反訳の正確性を検証できない」などと指摘。裁判を受ける権利を規定した憲法32条や37条などに違反していると主張している。

●弁準「盗聴」との相違点

裁判の録音をめぐっては、今年10月に国の指定代理人が非公開の弁論準備手続を無断録音していたことが問題になった。特に被告の国側が退席したあとの、裁判所と原告による個別聴取も「盗聴」されていたことが、より悪質だと問題視されている。

一方、今回のケースは、誰でも傍聴できる公開法廷での録音。それも事件に無関係な傍聴人ではなく、弁護人の録音だ。裁判の公開という観点からも注目を集めそうだ。

【追記:2022年12月6日】

大阪地裁広報課から、12月5日付で解任したことの確認がとれた。

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

デリヘル利用の夫が「本番強要」で逮捕→10日間拘束、高額の示談金支払い 悪質風俗店の「美人局」に弁護士が警鐘

派遣型の「風俗サービス」を利用した夫が、「本番行為を強要した」との疑いで逮捕され、10日間以上も拘束されたうえ、示談のために高額の金銭を支払うことになった──。そんな体験を語るのは、50代の女性だ。

一般的なニュースのサムネイル

Amazonセールで注意、一部商品は「事前値上げ→値下げ」かも…「見せかけ」の大幅割引は法的に問題か

さまざまな商品がお得に購入できるとして人気のセール「Amazonブラックフライデー」が12月1日まで開催されています。

一般的なニュースのサムネイル

孫育てからプロ並み家事まで…晩婚化と共働きが生む祖父母搾取、仁義なき令和家族の実態

共働き世帯が増える中、保育園の送迎や病児保育、夕食の世話などを祖父母が担当する「孫育て」は、現代の子育て家庭にとって欠かせなくなっています。

一般的なニュースのサムネイル

Snow Manライブで女性客が「全裸」?映像拡散で騒動に…「複数の犯罪成立も」弁護士が指摘

人気アイドルグループ「Snow Man」のコンサート会場で、観客席の女性が服をすべて脱いだ様子を撮影した映像がSNS上で拡散し、批判を浴びている。

一般的なニュースのサムネイル

「写真と違う」すき家のローストビーフ丼がSNSで話題 記者が実食→運営会社の見解は

牛丼チェーン大手「すき家」が発売したローストビーフ丼をめぐって、「メニュー写真と見た目が違う」という声がSNS上で上がっている。

一般的なニュースのサムネイル

短答式、合格者は2958人 前年比191人減 司法試験

法務省は8月1日、司法試験と予備試験の短答式試験の合格者数を発表した。

もっと見る