声優や俳優として活躍する平野綾さんと、俳優の谷口賢志さんが8月5日、それぞれのX(旧Twitter)アカウントで離婚を発表しました。
ともに「離婚届を提出し、離婚いたしましたことをご報告申し上げます」と投稿。昨年1月の結婚から1年半で、結婚生活に区切りをつけたことになります。
2人は「交際0日婚」と公表して話題になりましたが、昨年9月には「週刊文春」が結婚から3カ月で別居していたと報じ、平野さんも「弁護士を通して協議中」と説明していました。
実際の同居期間はごくわずかだったとみられる今回のケース。こうした事実上の別居状態が長く続いていた夫婦の場合、離婚時の財産分与はどうなるのでしょうか。冨本和男弁護士に聞きました。
●同居期間が短くても財産分与される?
──結婚から短期間で別居・離婚となった場合でも、財産分与は発生するのでしょうか。
財産分与とは、婚姻関係あるいは内縁関係にあった当事者の一方が、離婚などを機に他方に財産を分け与える制度です。当事者間の公平を図ることを目的としており、民法768条に基づいて請求することができます。
ただし、実際にはあまりにも婚姻期間が短い場合や、夫婦で協力して築いた財産がほとんどない場合には、財産分与が認められないケースもあると考えます。
条文には「当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して」(768条3項)とありますが、次のような事情が考慮されます。
「当事者双方がその協力によって取得し、または維持した財産の額およびその取得または維持についての各当事者の寄与の程度、婚姻の期間、婚姻中の生活水準、婚姻中の協力および扶助の状況、各当事者の年齢、心身の状況、職業および収入その他一切の事情を考慮し、分与させるべきかどうかならびに分与の額および方法を定めるもの」
つまり、お互いに若く、自立しており、婚姻期間も短く、共有財産もほとんどないと判断されれば、財産分与の対象にならない可能性もあるということです。
●短期間の同居でも「半分ずつ」になる?
──仮に財産分与がおこなわれる場合、同居期間が3カ月程度と短かったことは、分与の割合や対象に影響しますか。
原則として、財産分与は「半分ずつ」です。ただし、対象となるのは、婚姻期間中に夫婦の協力で取得・維持された共有財産に限られます。
結婚前からそれぞれが持っていた特有財産は原則として財産分与の対象になりません。
婚姻期間が長くなると、特有財産と共有財産が混在し、線引きが難しくなることもあります。しかし、今回のように婚姻・同居期間がごく短い場合は、特有財産と共有財産が区別しやすく、財産分与の対象も限定的になると考えます。