289.jpg
「取調べの全面可視化と証拠の全面開示を!」 冤罪被害者がネットで「署名活動」
2013年09月10日 12時20分

布川事件と足利事件と志布志事件。3つの著名な冤罪事件の被害者である桜井昌司さんと菅家利和さん、川畑幸夫さんが9月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を行い、冤罪をなくすための司法制度改革の必要性を訴えた。この日の会見は、桜井さんがインターネットで、「取調べの全面可視化と証拠の全面開示」を求める署名活動を始めたのに合わせて開かれた。桜井さんは、自らの取調べの様子を語りながら、「冤罪をなくすために取調べの全面可視化を実現し、検察官の証拠独占を改善したい」とアピールした。

「無実の人間を検察官が平然と犯人と決め付けて、何も問題が起きない社会に怒りと失望を感じる」。桜井さんはこう憤りを露わにした。1967年に茨城県で起こった強盗殺人事件(布川事件)で犯人とされ、29年間を刑務所で過ごしたが、2011年に再審で無罪判決を勝ち取った。警察によって改ざんされたという捜査報告書のコピーを示しながら、「冤罪を体験した身として、あらゆる手段を使って、日本でも冤罪が生まれない司法を実現したい」と強い思いを語った。

●米国発の署名サイト「change.org」を活用

今回の署名活動は、取調べの全面可視化と、検察がもっている証拠を全面開示させるための制度を実現するため、賛同する人の署名を集めるもの。米国発の署名サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」のなかに専用ページを開いて、賛同者を募っている。集まった署名は、法務大臣と衆議院と参議院の法務委員会に提出する予定だ。

署名を集める場として「change.org」を活用している点について、桜井さんは「いろいろなケースを見るなかで、日本の中でやる限界を感じた。日本で起きていることを外国の方に知っていただくことも、日本を正す力になるのではないかと考えた」と、その狙いを語った。

取調べの可視化をめぐっては、厚労省官僚の村木厚子さんが無実の罪で逮捕・起訴された郵便不正事件などをきっかけに、その全面的な実現を求める声が高まった。だが法務大臣の諮問機関である法制審議会は「取り調べの録音・録画の実施は取調官の意思に任せる」と判断し、全面的な可視化は実現していない。また犯罪に関する証拠についても、検察・警察が独占的に管理していることが、冤罪の温床となっていると指摘する声がある。

記者会見には、桜井さんのほか、足利事件で犯人とされ17年半を刑務所で過ごした菅家利和さんと、志布志事件の冤罪被害者である川畑幸夫さんも同席した。川畑さんは自白を強要されるなかで行われた「踏み字」を再現した紙を持参し、取り調べの様子を語った。また逮捕当時のDNA鑑定が誤りであったことが判明し、冤罪だったことが確定した菅家さんは「警察や検察は今でも絶対に許せない」と繰り返し、自らを刑務所に送った捜査機関に対する怒りを露わにしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

布川事件と足利事件と志布志事件。3つの著名な冤罪事件の被害者である桜井昌司さんと菅家利和さん、川畑幸夫さんが9月9日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を行い、冤罪をなくすための司法制度改革の必要性を訴えた。この日の会見は、桜井さんがインターネットで、「取調べの全面可視化と証拠の全面開示」を求める署名活動を始めたのに合わせて開かれた。桜井さんは、自らの取調べの様子を語りながら、「冤罪をなくすために取調べの全面可視化を実現し、検察官の証拠独占を改善したい」とアピールした。

「無実の人間を検察官が平然と犯人と決め付けて、何も問題が起きない社会に怒りと失望を感じる」。桜井さんはこう憤りを露わにした。1967年に茨城県で起こった強盗殺人事件(布川事件)で犯人とされ、29年間を刑務所で過ごしたが、2011年に再審で無罪判決を勝ち取った。警察によって改ざんされたという捜査報告書のコピーを示しながら、「冤罪を体験した身として、あらゆる手段を使って、日本でも冤罪が生まれない司法を実現したい」と強い思いを語った。

●米国発の署名サイト「change.org」を活用

今回の署名活動は、取調べの全面可視化と、検察がもっている証拠を全面開示させるための制度を実現するため、賛同する人の署名を集めるもの。米国発の署名サイト「change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」のなかに専用ページを開いて、賛同者を募っている。集まった署名は、法務大臣と衆議院と参議院の法務委員会に提出する予定だ。

署名を集める場として「change.org」を活用している点について、桜井さんは「いろいろなケースを見るなかで、日本の中でやる限界を感じた。日本で起きていることを外国の方に知っていただくことも、日本を正す力になるのではないかと考えた」と、その狙いを語った。

取調べの可視化をめぐっては、厚労省官僚の村木厚子さんが無実の罪で逮捕・起訴された郵便不正事件などをきっかけに、その全面的な実現を求める声が高まった。だが法務大臣の諮問機関である法制審議会は「取り調べの録音・録画の実施は取調官の意思に任せる」と判断し、全面的な可視化は実現していない。また犯罪に関する証拠についても、検察・警察が独占的に管理していることが、冤罪の温床となっていると指摘する声がある。

記者会見には、桜井さんのほか、足利事件で犯人とされ17年半を刑務所で過ごした菅家利和さんと、志布志事件の冤罪被害者である川畑幸夫さんも同席した。川畑さんは自白を強要されるなかで行われた「踏み字」を再現した紙を持参し、取り調べの様子を語った。また逮捕当時のDNA鑑定が誤りであったことが判明し、冤罪だったことが確定した菅家さんは「警察や検察は今でも絶対に許せない」と繰り返し、自らを刑務所に送った捜査機関に対する怒りを露わにしていた。

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る