4558.jpg
行列の「回転寿司」食べ終わった後も居座る女子大生たち…退店を求めることは可能?
2017年03月20日 10時00分

ランチタイムで混雑する回転寿司屋で、食べ終わったのに楽しそうにおしゃべりする女子大生たちーー。その後姿を見つめながら、都内のIT企業で働くHさんは、席が空く順番の列にイライラしながら並んでいた。

Hさんの食事が終わり、退店するころになっても、女子大生たちはおしゃべりを続けていた。Hさんは、牛丼屋や回転寿司などファストフード店では、食べ終わったら速やかに会計して退店するべきではないかと考えている。「特に混雑するお昼時で、並んで待つお客さんが大勢いるなら、なおさらではないでしょうか」と憤る。

Hさんの怒りは、女子大生たちだけに向いているわけではない。注意して退店させない店側の対応にも不満を持っている。食事が終わっていることが確認できたなら、店側が速やかに退店を求めるべきではないかと考えているのだ。

おしゃべりに興じる女子大生たちは、「自分たちも対価を払っている」「場所代も値段に含まれているはず」といった主張があるかもしれない。法的にみて、飲食が終わっている客に対して、店側は退店を求めることはできるのか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

ランチタイムで混雑する回転寿司屋で、食べ終わったのに楽しそうにおしゃべりする女子大生たちーー。その後姿を見つめながら、都内のIT企業で働くHさんは、席が空く順番の列にイライラしながら並んでいた。

Hさんの食事が終わり、退店するころになっても、女子大生たちはおしゃべりを続けていた。Hさんは、牛丼屋や回転寿司などファストフード店では、食べ終わったら速やかに会計して退店するべきではないかと考えている。「特に混雑するお昼時で、並んで待つお客さんが大勢いるなら、なおさらではないでしょうか」と憤る。

Hさんの怒りは、女子大生たちだけに向いているわけではない。注意して退店させない店側の対応にも不満を持っている。食事が終わっていることが確認できたなら、店側が速やかに退店を求めるべきではないかと考えているのだ。

おしゃべりに興じる女子大生たちは、「自分たちも対価を払っている」「場所代も値段に含まれているはず」といった主張があるかもしれない。法的にみて、飲食が終わっている客に対して、店側は退店を求めることはできるのか。尾崎博彦弁護士に聞いた。

●客を退店させるかどうかは、店側の管理権限

「そもそも、こういったことは本来マナーの範ちゅうで考えるべきことで、法律的に強制するのは最後の手段と理解しておいて下さい。

まず、居座り続ける客をどうするかは飲食店次第です。飲食店側は、その店舗の管理権を有しています。どのような客を受け入れ、退出させるかは、もっぱらその飲食店の方針で決められるわけです。

すなわち、飲食店は『その店内で食事などを提供するためのサービスを行う』わけですが、そのサービスを提供する必要のない人に対しては、退去を求めることも可能なのです。

店側としては正当な活動であり、法的に問題となるわけではありません。もちろん飲食店の業態にも様々なものがありますから、長居する客をどこまで容認するかは、もっぱらその店の業態や方針によって異なることになります」

尾崎弁護士はこのように指摘する。並んでいる他の客などが退店を求めることはできないのか。

「客を退店させるかどうかは、もっぱら当該場所を管理する『店側の権限』であって、義務ではありません。したがって、居座り続ける客を店側が容認している以上、他の客が(店に文句を言うことはともかく)その客を追い出す権限はありません」

●客側に「居座る権利」はあるのか

では、店側が食べ終わっている客に対して退店を求めた場合、「場所代も値段に含まれているはずだから、いつまで居ようと私の自由のはずだ」と主張することはできるのか。

「そのような主張は正当ではありません。

前述のように、客がその場所を利用できるのは、当該サービスを受けるために必要だからであって、その限度でのいわば反射的な利益に過ぎないからです。

したがって『場所代が値段に含まれている』かどうかはともかく、『いつまでも店内に居続けられる自由』などありません。

それどころか、あくまでこのような主張に固執して、再三の退去要求に従わないで店に居座り続けると、不退去罪(刑法130条後段)に該当する可能性も出てきます。現実にも、注文の不手際に立腹して居座り続けたお客が逮捕された事例もあるようです。

結局、長居する客をどこまで容認するかは、店側が『経営的な判断』として行うべきことです。しかし、お客さんとしては、店から早々に追い出されたり、あるいは逆に長々と待たされたりして不快な思いをしたら、店の評判を落とすことになって商売にも差し支えます。

ですから、店側としても、食事が終わったお客さんを気分良く帰っていただくように工夫すると共に、お客さんにもマナーが求められることはいうまでもありません」

(弁護士ドットコムニュース)

新着記事
一般的なニュースのサムネイル

同性婚訴訟、東京高裁が「合憲」判断 全国で唯一判断割れる結果に…弁護団「きわめて不当な判決だ」

性的マイノリティの当事者が、同性同士が結婚できないのは憲法に反するとして、国を訴えた裁判(東京2次訴訟)の控訴審で、東京高裁(東亜由美裁判長)は11月28日、現行法の規定を「合憲」と判断した。

一般的なニュースのサムネイル

最高裁で史上初の「ウェブ弁論」、利用したのは沖縄の弁護士「不利益にならない運用を」

裁判の口頭弁論をオンラインで実施する「ウェブ弁論」が今月、初めて最高裁でおこなわれた。

一般的なニュースのサムネイル

夫の「SM嗜好」に苦しむ妻、望まぬ行為は犯罪になる?離婚が認められる条件は?

パートナーの理解を超えた「性的嗜好」は、離婚の正当な理由になるのでしょうか。弁護士ドットコムには、そんな切実な相談が寄せられています。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「答え合わせしたい」日テレの拒否は「適正手続」の観点から問題?

コンプライアンスの問題を理由に番組を降板し、活動を休止していた元TOKIOの国分太一さんが、11月26日に東京霞が関で記者会見を開きました。

一般的なニュースのサムネイル

国分太一さん「録音の削除求められた」消さないと違法だったの?弁護士が解説

解散したアイドルグループ「TOKIO」の国分太一さんが11月26日、東京都内で記者会見を開き、日本テレビ側から番組降板を告げられた際、会話を録音しようとしたところ、同席した弁護士からデータの削除を求められたと明らかにした。一般論として、法的に録音の削除に応じないといけないのだろうか。

一般的なニュースのサムネイル

「サケ漁はアイヌ文化の主要な部分」日弁連、アイヌ施策推進法の改正求める意見書

日本弁護士連合会(日弁連)は11月20日、「アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律」(アイヌ施策推進法)の5年見直しに際し、アイヌ集団の権利保障やサケ漁の権利の法整備などを求める意見書を公表した。同法附則第9条の見直し規定に基づき、文部科学大臣や農林水産大臣など関係機関に提出した。

もっと見る