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錦織選手への「1億円ボーナス」 贈与税の税率が50%だとすると「手取り」は?
2014年09月22日 19時35分

テニス全米オープンの男子シングルスで大活躍した錦織圭選手。惜しくも優勝はならなかったが、四大大会男女シングルスの決勝進出は日本人初の快挙。準優勝の賞金が145万ドル(約1億5000万円)と高額なことも話題だが、さらにスポンサーからボーナスとして1億円が支払われることになった。

報道によると、ボーナスを支払ったのは、錦織選手とスポンサー契約を結んでいる「ユニクロ」のファーストリテイリング社と柳井正会長。大会でユニクロのウェアを着て対戦し、ブランド価値を高めた貢献をたたえて、同社と柳井会長が5000万円ずつ支払うという。

これが企業から従業員へのボーナスなら、所得税がかかったり、健康保険や厚生年金などの保険料が引かれたりする。スポンサーと契約選手の場合、どうなるのだろうか。また、今回の錦織選手へのボーナスの半分は、柳井会長個人から贈られたお金というが、贈与税はかからないのだろうか。佐原三枝子税理士に錦織選手の「手取り」を聞いた。

テニス全米オープンの男子シングルスで大活躍した錦織圭選手。惜しくも優勝はならなかったが、四大大会男女シングルスの決勝進出は日本人初の快挙。準優勝の賞金が145万ドル(約1億5000万円)と高額なことも話題だが、さらにスポンサーからボーナスとして1億円が支払われることになった。

報道によると、ボーナスを支払ったのは、錦織選手とスポンサー契約を結んでいる「ユニクロ」のファーストリテイリング社と柳井正会長。大会でユニクロのウェアを着て対戦し、ブランド価値を高めた貢献をたたえて、同社と柳井会長が5000万円ずつ支払うという。

これが企業から従業員へのボーナスなら、所得税がかかったり、健康保険や厚生年金などの保険料が引かれたりする。スポンサーと契約選手の場合、どうなるのだろうか。また、今回の錦織選手へのボーナスの半分は、柳井会長個人から贈られたお金というが、贈与税はかからないのだろうか。佐原三枝子税理士に錦織選手の「手取り」を聞いた。

●ユニクロ分と柳井会長分は、税制上、別扱い

「今回のお金は、もっぱら『ボーナス』と報道されていますね。しかし、お勤めの方が会社からもらうボーナスとは全く異なります。錦織選手はプロのテニスプレーヤーですから、個人事業主です。ユニクロからの5000万円は、スポンサー契約の一環によるものでしょう」

すると、ぶっちゃけた話、錦織選手の今回の「手取り」はいくらぐらいになるのだろう。

「一般的にいって、今回のようにスポンサー契約によって支払われる報酬については、税金が源泉徴収されます。一方で、通常の会社員のボーナスのように、社会保険料を引かれることはありません」

「ただ、錦織選手はアメリカのフロリダ州に住んでいます。日米租税条約の特典が適用され、日本では源泉徴収されずに、5000万円をそのまま受け取ることになると思われます。しかし、アメリカで、この収入や賞金などについて、まとめて確定申告をしなければなりません。ただ、フロリダ州は個人所得の州税がかからないので、米国内でも比較的安い税金で済むのではないでしょうか」

では、柳井会長個人からもらった5000万円は、違う扱いになるのだろうか。

「はい。これは、ボーナスというよりプレゼントですから、贈与税の対象となります。贈与税の場合は、『贈り主』の居住地が問題となります。今回は、日本に住んでいる柳井会長からのプレゼント。となると、送られた当人がアメリカ在住であっても、錦織選手は、日本で贈与税を納めなければなりません。ただ、米国で再び、贈与税が課せられることはありません」

では、柳井会長からの5000万円の「手取り」はどれくらいだろう?

「現在の日本の贈与税の最高税率50%が適用されます。せっかくのプレゼントもほぼ半分に減ってしまいますね」

額面が多くても、税金でずいぶん引かれてしまうとは、気の毒な気もする。日本国民の立場からすると、ここは錦織選手の頑張りが私たちの生活を支えてくれていると考えて、錦織選手に感謝の言葉を述べるべきだと言えそうだ。

【取材協力税理士】

佐原 三枝子 (さはら・みえこ)税理士・M&Aシニアスペシャリスト

兵庫県宝塚市で開業中。工学部卒、メーカー研究所勤務から会計の世界へ転向した異色の経歴を持つ。「中小企業の抱える悩みをすべて解決したい!」という思いで、税務にとどまらず、経営改善対策、M&Aによる事業承継を手掛けている。

事務所名   : 佐原税理士事務所

事務所URL:http://www.office-sahara.jp/

(弁護士ドットコムニュース)

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