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<ヘイトスピーチ規制>「日本政府は国連委員会の勧告を実施せよ」NGOがアピール
2014年09月02日 21時00分

国連・人種差別撤廃委員会が8月下旬に「最終見解」を出し、日本政府にさまざまな「人種差別対策」を勧告したことを受けて、日本のNGO関係者らが9月2日、東京・永田町で記者会見を開いた。

ジュネーブで委員会を傍聴した師岡康子弁護士は会見で、「現状をよく踏まえて、勧告してもらえた。今の日本の情勢にとって、非常に大きな意味があることだ」と、見解の内容を評価した。また、日本政府に対しては「ヘイトスピーチを含む人種差別を禁止する法制度を整えてもらいたい」と述べた。

国連・人種差別撤廃委員会が8月下旬に「最終見解」を出し、日本政府にさまざまな「人種差別対策」を勧告したことを受けて、日本のNGO関係者らが9月2日、東京・永田町で記者会見を開いた。

ジュネーブで委員会を傍聴した師岡康子弁護士は会見で、「現状をよく踏まえて、勧告してもらえた。今の日本の情勢にとって、非常に大きな意味があることだ」と、見解の内容を評価した。また、日本政府に対しては「ヘイトスピーチを含む人種差別を禁止する法制度を整えてもらいたい」と述べた。

●日本の「ヘイトスピーチ」はどう見られているのか?

日本が1995年に加入した「人種差別撤廃条約」では、参加国で差別が行われていないか、国連の人権差別撤廃委員会が審査する。今回の「最終見解」は、日本への審査の総括として、同委員会が8月29日に採択したものだ。

最終見解は、日本のヘイトスピーチの状況にも言及している。特に在日韓国・朝鮮人(コリアン)への人種差別的デモ・集会をする団体によるヘイトスピーチのまん延や、政治家・公人によるヘイトスピーチが報告されたこと、メディアでのヘイトスピーチの広がりなどについて、懸念が表明されている。さらに、そうした行為が適切に捜査・起訴されていないことも、懸念点だとしている。

こうした状況に対して、最終見解は「ヘイトスピーチとたたかうための措置が、抗議する権利を奪う口実になってはならない」としつつも、「弱者がヘイトスピーチやヘイトクライムから身を守る権利」を再認識するよう指摘した。

そして、人種差別的な表明や差別的暴力に断固として取り組むことや、メディアのヘイトスピーチとたたかうため適切な手段をとること、そうした行為に責任のある個人・団体を訴追したり、ヘイトスピーチをする政治家・公人に制裁を科すことなどを、政府に勧告した。

●秋の臨時国会に法案を提出する動きも

ヘイトスピーチへの法規制については、自民党がプロジェクトチームを設置しているほか、超党派での法案作成の動きもある。記者会見に出席した民主党の有田芳生参議院議員は「(秋の臨時国会に向け)人種差別撤廃基本法を準備している。拡大適用されないものにする」と表明していた。

(弁護士ドットコムニュース)

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